その土地ならではの地酒を紹介するシリーズの第29弾。
今回は兵庫のお酒を紹介したいと思います。
①琥泉 (こせん)
「泉酒造」は創業宝暦6年(1756年)。初代泉仙介が有馬郡道場村にて酒造業をはじめ、三代目仙介の時、道場村より灘五郷のひとつ、御影郷に製造所を移しました。当時より御影は酒造りに最適の地として知られ、そこに湧き出る地下水は水質最良、水量豊富でした。この恵まれた水源と、自らの姓・泉より銘柄を「泉正宗」としました。
阪神淡路大震災で蔵が全壊し、その後父方の実家である「西野金陵」に委託醸造を行っていましたが、平成18年に少量ながら自家醸造を再開しています。 商品パッケージに使われている「泉」の文字は俳優「森繁久彌」の手によるものです。
「琥泉 純米吟醸しぼりたて無濾過生原酒」は、しぼりたての純米吟醸酒をいっさい手を加えず無濾過のまま一本一本瓶詰めしたお酒です。 華やかな香りとフレッシュな味わいを楽しめます。
②龍力 (たつりき)
「本田商店」は大正10年(1921年)創業。兵庫県姫路市に有ります。「良いお米を使えば良い酒ができる」という考えのもと、お米の美味しさを追求し「龍力」で使用するお米は全て“酒造好適米”を使用しています。特に山田錦においては「龍力」で使用する全ての山田錦が最高級品である“兵庫県特A地区産”です。 「龍力 純米酒 純米ドラゴン Episode3 生酒」は、ドラゴンシリーズの定番品、ドラゴンエピソード3の生酒。 新酒ができる“今の時期のみ”の出荷です。 フルーティーな味わいのドラゴン3に生酒らしいフレッシュな香りがプラス。清涼感あふれるお酒に仕上がっています。
③奥播磨 (おくはりま)
「下村酒造店」は明治17年(1884年)創業。「手造りに秀でる技はなし」の家訓を守り、現在は米と米麹を原料にした純米酒のみを醸造しています。「下村酒造」の在る安富町は、九割を山林に囲まれ、清冽で豊かな水と澄んだ空気、そして何よりも良質の酒米「山田錦」が贅沢に手に入る恵まれた環境に在ります。
「奥播磨(おくはりま)純米吟醸 芳醇超辛 青ラベル」は、爽やかで甘い芳香。 含みからインパクトのある旨味の入った甘味と、太くてドライなアルコール感。 酒度も高く、ボディは厚めですが、後口が爽やかで生酒にありがちな味のもたつき感も無く、飲みやすい仕上がりのお酒になっています。
④播州一献 (ばんしゅういっこん)
「山陽盃酒造」は天保8年(1837年)創業。揖保川のほとり、旧城下町である兵庫県宍粟市山崎町に、中国山脈の奥深くより流れ出る清流に抱かれ、大自然の恩恵を受け酒を醸しています。
江戸時代から使われている仕込み蔵で造られた酒は、瓶詰され明延鉱山の中にある、明壽蔵に運ばれます。ここは一年を通して、気温が9度前後に保たれる天然の冷蔵庫です。遮光性が高く、温度が一定の環境は日本酒をじっくりと熟成させるのに最適で、この蔵で熟成させた酒は驚くほどまろやかな味わいに仕上がります。
「播州一献 純米 超辛口」は兵庫県産北錦で醸した無濾過の純米酒。酒度は+15の辛口仕上げです。低温長期もろみにてゆっくりと仕込み、味わいのあるキレ味。冷からお燗まで幅広く楽しめます。
⑤来楽 (らいらく)
「茨木酒造」は創業嘉永元年(1848年)。明石では古くから酒造好適米の産地として知られる播磨平野にあって、井戸水や季節風に恵まれたことから良質の酒が生産されるようになり、最盛期には70軒もの酒蔵がありました。今ではわずか6軒となりましたが、甘酒や花酵母を使った日本酒などの幅広い商品に取り組んでいる蔵です。
「来楽 純米吟醸」は「地元の白身に合う定番の上質な酒が欲しい」の意見を元に開発されました。香りは適度に華やか。初期は甘味を感じますが、酸の存在で総じてキレが良い印象が残ります。冷酒でも燗でも楽しめます。
⑥奥丹波 (おくたんば)
「山名酒造」は創業は江戸享保元年(1716年)。兵庫県丹波市にある丹波では一番古い造り酒屋として知られている老舗蔵です。名杜氏として知られる丹波杜氏の青木卓夫さんによる、丁寧に仕込まれた透明感のある綺麗な酒を醸しています。酒米は契約栽培米で、野条穂や雄町など。なかでも野条穂は半世紀前に絶滅した伝説の酒米とされ、これを現代に蘇らせました。
「奥丹波 純米吟醸 野条穂」は、酒造好適米「野条穂」を使用し、60%まで磨き上げて造られる純米吟醸酒です。幻の酒米と言われていた「野条穂」を復活させた、山名酒造の限定酒です。
奥丹波地方でも栽培され、良酒を醸していたにもかかわらず、農業の合理化のため戦後忽然と姿を消した優良品種「野条穂」。わずかの種籾から収量を増やし復活栽培に成功しました。
ふくよかな香りと甘酸辛苦渋という五つの味のバランスがとれた深みのある味わいは、どことなく懐かしさを感じる落ち着いた佇まいがあります。ゆったりとした時の流れを感じさせる、まさに現代の日本酒の原点とも言えます。
⑦富久錦 (ふくにしき)
「富久錦」は創業天保10年(1839年)。播磨の國・加西市に有ります。 米と水だけでお酒を醸す純米蔵である「富久錦」は、肥沃な播州平野の風土に育まれた良質な酒米と、蔵の井戸から汲み上げた軟水の自然水を原料に、受け継がれてきた伝統的な手法と現代的な手法を融合し、米本来のありのままの旨みを感じられる純米酒を醸しています。
「富久錦 生もと純米 播州古式」は江戸時代から伝わる伝統的な製法である、生もと造りを富久錦流にアレンジを加えた「播州古式」で作られています。
蔵に棲み付いている天然の乳酸菌の力を借りて酒母を立てるのが生もと。 生もと由来の酸と、70%と低精白の夢錦の旨味を生かしたお酒に仕上げられているのが「播州古式」です。
生もとらしいドッシリ感を持たせながら、少し軽さを持たせることで飲み出したら止まらないお酒になっています。
⑧仙介 (せんすけ)
「泉酒造」は創業宝暦6年(1756年)。創業約250年の老舗蔵ですが、1995年の阪神・淡路大震災で蔵を焼失してしまいました。 途中、製造委託などをしながら、さまざまな苦労がありましたが、2007年1月17日、震災から丁度12年後に、たくさんの苦労を乗り越えて見事に復活を遂げた酒蔵です。
「仙介 特別純米 しぼりたて無濾過生原酒」は、しぼりたての新酒を(無濾過)を1本1本手詰めした、フレッシュなお酒です。 兵庫県産の新米を使用。新酒独特のフレッシュな香りとコクがあり、旨みのある味わいを楽しめます。
いかがだったでしょうか?
日本全国美味い日本酒巡り:その29.兵庫の日本酒。
お気に入りのお酒を取り寄せて、兵庫の名酒を味わってみては如何でしょうか?