「おせち料理」と言えば、新年を迎えるに当たって、1年の始まりをお祝いする特別な料理です。
その「おせち料理」には日本各地で独自のご当地メニューが存在します。
そんな日本全国のご当地おせち料理の中から、近畿地方のおせちを紹介したいと思います。
①滋賀県:「赤こんにゃく」
滋賀県近江八幡市では、全国でも珍しい赤いこんにゃくが慣れ親しまれてきました。近江八幡市は織田信長が安土城を築いた地。これは派手好きな織田信長がこんにゃくまで赤く染めさせたとか、近江商人が全国を行脚している際にこのような奇抜なアイデアを思いついたなど諸説ありますが、はっきりしたことは分かっていません。
赤く染める原料は三二酸化鉄(さんにさんかてつ)という食品添加物で、赤色を出す以外に食物繊維やカルシウムといった栄養を含んでいます。やわらかな食感が特長で、料理には普通のこんにゃくと同じように使えます。
地元では冠婚葬祭のご馳走に欠かせない食卓を彩る食材として重宝されています。
②京都府:「棒鱈の煮物」
「棒鱈の煮物」は、主に京都を中心に関西で食されるおせち料理の一つです。中でも「いもぼう」と呼ばれる、海老芋と棒鱈の炊き合わせは京料理として有名です。
完全に水分が抜けてカラカラになるまで干した棒状の鱈を、三日から長くて一週間ほどたっぷりの水に浸して身を戻してから調理します。天日干しにされることで鱈のうまみが凝縮されておいしくなる上に、時間をかけて戻すことでほろっと柔らかい食感が味わえます。
元はと言えば、北海道や東北の海で獲られていた鱈を加工して、保存食として関西に広めたことが始まりです。そこから「たら(鱈)ふく食べられる」と語呂が合わせられ、「一年間食に困りませんように」と願いが込められて食される縁起物となりました。
③兵庫県:「冷たい八宝菜」
兵庫県ではお正月に作り置きした「冷たい八宝菜」を食べる風習があります。主に神戸在住の中国や台湾出身者の間で、正月に火を使ってかまどの神様を驚かせないよう、たくさん作り置きする事から始まった習慣だそうです。食べる時に温める程度に火にかけて頂きます。
④三重県:「煮なます」
「煮なます」は「らかんなます」とも言われ、地元で取れた産物などを7種類(7色)使った料理で、正月料理の残り物を煮かえしたり、野菜くずを利用したりして作ります。
火が通っているので日持ちがするので、昔の人の知恵がつまった保存食といえます。煮ることにより酢の酸味が抑えられ、口当たりの優しい味わいです。 カロリーも低く、ミネラルや食物繊維が豊富な身体に優しい一品です。
煮なますのレシピ(cookpadより)→煮なます
⑤奈良県:「柿なます」
紅白なますに使われている大根と人参は、土の中にまっすぐに伸びていく姿から、地に足をつけて家族が日々過ごせるようにと願う気持ちも込められています。
大根とニンジンの紅白なますに干し柿を刻んで入れたなますは、奈良の正月のおせちの定番のひとつ。なますに干し柿を入れたのは、砂糖の代用ともいわれています。
すっぱい紅白なますの中に、干し柿の甘みが、なんとも言えず美味しい一品です。
⑥大阪府:「にらみ鯛」
鯛は年取りの魚として多くの地域で食べられて来た魚ですが、その謂れは鯛という言葉を「めでたい」に掛けている所から来ています。
「にらみ鯛」は大阪府や京都府のおせち料理で古くから行われてきた「風習」です。一見普通の尾頭付きの鯛ですが、正月三が日の間は食事の際に縁起物として膳に上がるものの、一切手を付けることが許されません。
3日にらんで4日目に食べるため「にらみ鯛」と呼ばれます。 「自分たちはすぐ食べずに神様にお供えして先に食べてもらおう」という風習です。
⑦和歌山県:「ぼうり」
「ぼうり」とは、里芋の親芋のことを言います。 田辺市(旧大塔村)の言い伝えによると、「ぼうり」を食べるきっかけは、1331年に後醍醐天皇の第三王子大塔宮護良親王が「熊野落ち」した時、山伏姿の者に便宜を与えてはならない布令が出されていたため、大塔の宮様に対して猟師が食べ物を出さず、 後に素性が分かって、お餅すら渡さなかった事を悔い、その後600年間お正月には餅をつかずに、雑煮の代わりに「ぼうり」を食べたからだそうです。
「ぼうり」は、掘り出した芋を二日間干し、二日間煮込むという大変手間のかかる料理です。 調理は、かつお・にぼしで出汁をとり、醤油・みりん・砂糖・塩で味付けをします。 伝統的な郷土料理ですが、現在では地元地域ではほとんど作られない料理となっています。
「ぼうり」のレシピ(和歌山県のHPより)→ぼうり
いかがだったでしょうか?
2020年のお正月に食べたい近畿地方のご当地おせち。
来年のお正月は、ご当地おせちにしてみては如何でしょうか?