日本酒には様々な種類が有ります。
今回は日本酒の種類にフォーカスを当てて行きたいと思います。
1.普通酒とは?:特定名称酒と普通酒
1−1.清酒の分類
国税庁の「清酒の製法品質表示基準」によれば、清酒には大きく分けて「特定名称の清酒」8種と、それ以外の「普通酒」、「増醸酒」などが有ります。
(国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要より)
1−2.普通酒とは?
「特定名称酒」以外の日本酒である「普通酒」に分類されるお酒は、日本酒全体の70%を占めています。
精米歩合や醸造アルコール添加の有無以外にも「農産物検査法によって、3等以上に格付けされた米を原料に使っていること」「添加する醸造アルコールの量が、使用する白米の総重量の10%以下であること」「麹米の使用割合が15%以上であること」などの基準があります。
ラベルに「吟醸」「純米」「本醸造」などの文字があったら、それは「特定名称酒」です。
精米歩合が高かったり、仕込み方法が手間の掛かる方法だったりと、「特定名称酒」は、”より手間と時間をかけて造られたお酒”と言えます。
1−3.普通酒は安いだけじゃない!
それでは、特定名称酒以外の「普通酒」は手間を省いた安いだけの酒なのでしょうか?
現在の区分になる前は、特級、1級、2級と等級別に分かれていましたが、2級酒に分類されるお酒でも旨い酒は沢山有りました。
八海醸造株式会社の「清酒 八海山」は普通酒ですが、精米歩合は60%と吟醸酒と同等です。
吟醸酒クラスの酒を「普通酒」と名乗ることで、蔵全体のレベルを上げているのです。
旭酒造株式会社の「獺祭 等外」も普通酒に分類されています。
その理由は、通常、くず米として処分される等級の低い米を使った日本酒だからです。
等外米は粒がふぞろいで、日本酒の原料には向かないといわれていますが、「契約農家が育てた酒米を無駄にしたくない」という思いで商品化されました。
等外米とは言え、酒米の王様とも呼ばれる山田錦を100%使っています。
価格が手頃で、取り扱いも簡単なパック酒やカップ酒は、ほとんどが普通酒です。
しかしパック酒も安いだけではありません。
菊正宗酒造株式会社の「しぼりたてギンパック」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017」で最高金賞を受賞しています。
2.普通酒にも様々な種類が有る!
普通酒で美味しいお酒は沢山有ります。
その中からいくつかをご紹介します。
①越乃寒梅
「越乃寒梅」は全国津々浦々に名を轟かせている、新潟を代表する銘酒です。石本酒造は創業明治40年(1907年)。新潟市北山という亀田郷の閑静な住宅地の中にあります。
酒質は、「上善如水」と言う様に、水のように障りなく、淡麗かつ香り控えめ、ふくらみがありながら、飲んだ後の引きがよく、旨さが戻るようなお酒です。蔵元の酒に対する真摯な想いが今も息づいている銘酒です。
②爛漫
「爛漫」を醸す「秋田銘醸株式会社」は大正11年、秋田県清酒を全国に売り出そうと県内の主な酒造家や政財界人などの有志が集まり設立。酒どころ秋田の中でも最も酒造りに適した場所として、湯沢市が選ばれました。
酒の名は当時は珍しい公募によって決定、「天真爛漫」「花爛漫」のイメージから名づけられたという事です。 創業3年目の大正11年には早くも全国清酒品評会で優等賞を受賞するなど、すぐに頭角を現し、さらに美人女優を使ったコマーシャル展開なども功を奏し、「美酒爛漫」は瞬く間に全国区の銘酒として知られるようになりました。
「爛漫」は雪国秋田の寒冷な環境を活かした造りで、軽快な含み香と変わらぬ旨さが人気です。 飲み続けて旨さが増す通の酒です。燗酒コンテスト2017「熱燗」部門金賞受賞しています。
③雪中梅
「雪中梅」の「丸山酒造場」は明治30年創業。高田平野の東縁に位置し、東頸城丘陵の里山を背にした田園の中にある酒蔵です。蔵の裏山を水源とする井戸水を仕込み水に使用し、地元の米を原料に、昔ながらの手を掛けた酒造りを心懸けています。
「雪中梅」は酒蔵好適米「こしいぶき」と「五百万石」を使用。箱麹法による手づくりの麹で仕込みます。やわらかの口当たりとキレのよい後口が印象的な、淡麗旨口のお酒です。
④天狗舞
「天狗舞」で知られる「車多酒造」は、文政6年(1823)創業。手取川支流に蔵があった頃、ある日、近くの森から天狗が太鼓をたたく音が聞こえてきた、と言う話から酒銘がついたそうです。
昭和52年、全国新酒鑑評会で初の金賞に輝いてから、連続受賞を重ねています。天然乳酸による山廃仕込を全国に認知させ、酒好きの間では知らぬ者のないほどの実力蔵です。
「天狗舞 舞(まい)」は、酒造好適米「五百万石」を65%まで磨き上げて仕込まれた酒に、「天狗舞」の得意とする「山廃仕込純米」をブレンドして造られた、普通酒となります。
口当たりは軽やかで飲みやすく、さらに飲み進めるほどにしっかりとした旨味とコクが感じられる、飲み飽きしない酒です。山廃仕込をブレンドすることで普通酒クラスでありながら山廃酒特有のコクと旨みも備えているため、天狗舞らしさはこの「舞」からもしっかりと感じ取ることが出来ます。
⑤越乃景虎
「越乃景虎」の「諸橋酒造」は創業弘化4年(1874年)。蔵を構える栃尾市は、新潟県のほぼ中央に位置し、四方を山々で囲まれた盆地の中にあります。「越乃景虎」という酒名は、「上杉謙信」が幼少時代を過ごしたゆかりの深い土地柄である事から、元服名である「長尾景虎」にちなんで命名されました。
全国名水百選にも指定される「杜々の森の清水」と、蔵の側から湧き出る全国でも稀な硬度0.47の自然水は、いずれも新潟県の水の特徴である軟水の中でも特にミネラル含有量の少ない超軟水。この水で仕込まれたお酒は、口当たりが柔らかく、上品でまろやかな酒質に仕上がるのが特徴です。
「越乃景虎」は辛口酒を基本に仕込まれていますが、「越乃景虎」たる所以である、その柔らかくまろやかな酒質が「辛口でありながら辛さを感じさせない」という他の辛口酒にはない特徴のあるお酒です。
⑥岩波
「岩波」の醸造元「岩波酒蔵」は創業百四十数年の歴史ある蔵です。西に日本アルプスを望み、東に美ヶ原を中心とした高原にかこまれた城下町松本市、その郊外山辺の里が、この地方の「晩酌の定番」という呼名を持つ清酒「岩波」のふるさとです。
皮膚をさす様なきびしい寒気の中で、安曇野産の酒造好適米と美ヶ原を源とする清純な薄川の伏流水を、伝統の技術と最新酒造設備で醸し、涼しい酒蔵の中でじっくりと熟成しつづけます。
「岩波 佳撰」は麹米に安曇野産「ひとごこち」を贅沢に使用し、美ヶ原水系の清冽な水でじっくり醸した「旨口」のレギュラー酒。この地方の晩酌の定番酒です。
⑦越路吹雪
「越路吹雪」の「高野酒蔵」は、創業明治32年。二十四節気のひとつ、白露の日に創業を始めた蔵は『白露(シラツユ)』という名の酒を醸しはじめ、120年ほどになります。 蔵は新潟市の西部に位置し、近くにはラムサール条約湿地のある佐渡弥彦米山国定公園もあり、信濃川水系になります。水が非常に軟水でミネラル分が少ないので、雑味のない淡麗な味わいの酒に仕上がります。
「越路吹雪 極寒仕込」は代表銘柄「越路吹雪」の晩酌酒。燗酒良し、冷酒良し、酌めども酌めども飽きることを知らない素直な酒。 料理を選ばない、名脇役の日本酒です。熱燗、ぬる燗など、燗をつけても良し、冷や、冷酒で飲んでも良しのオールラウンダーです。
⑧多賀鶴
「多賀鶴」の「福徳長酒類」は創業寛政4年(1792年)。神戸・灘で創業しました。その後、森永製菓のグループ企業となり、2001年に合同酒精の傘下に入りました。主要銘柄には清酒「福娘」、「福徳長」、「多賀鶴」などが有ります。
「多賀鶴 佳撰」はアルコール度数15、日本酒度±0、酸度1.3。原料は兵庫県産の清酒好適米を使用し、燗で際立つ芳醇旨口の灘の清酒です。
⑨菊水
「菊水酒造」は明治14年 (1881年)創業。蔵の有る新発田市の南北に開ける北越後平野は、実りの季節には黄金色の稲穂が一面を埋め尽くし、良質の米がたくさん収穫されます。加治川周辺には豊富な地下水脈があり、飯豊連峰の雪解け水を含む清冽な伏流水とあいまって、酒造りに絶好の環境となっています。
「菊水」の酒銘は『太平記』十三巻(龍馬進奏の事)における『菊慈童』という能楽から来ています。今や「菊水」の名は全国に轟いており、その名を聞いた事の無い人は殆どいないと言う位有名です。
「菊水 白キャップ」は、毎日の晩酌に欠かせない、根強い人気がある一本。コクがあり、やや甘口の味わいはロックから燗まで様々な飲み方がお楽しみいただけます。 なめらかな口当たりの白キャップは、煮物との相性が良いお酒です。中でも、少し甘めに煮付けたしょうゆ味の煮物と合わせると、ホッとするようなやさしい風味が生まれます。
⑩真澄
「真澄」は寛文2(1662)年創業。清冽な水と冷涼な気候に恵まれた霧ヶ峰の山ふところ信州諏訪で、諏訪大社のご宝物「真澄の鏡」を酒名に冠した酒を醸しています。優良な清酒酵母として現在でも全国の酒蔵で使われている「七号酵母」の発祥蔵としても知られています。
「銀撰真澄」は信州の酒通に愛され続けるベストセラー。真澄ブランドの名声を創り上げて来た一本です。 等級酒の時代は「真澄」の「二級酒」として販売され、地元で愛されてきた「真澄」の代表銘柄です。 すっきりした喉越しの飲みやすい日常酒。全国燗酒コンテスト2018で最高金賞受賞しています。
いかがだったでしょうか?
様々な清酒とオススメのお酒その①:オススメの普通酒。
お気に入りのお酒を取り寄せて、美味しい普通酒を味わってみては如何でしょうか?