その土地ならではの地酒を紹介するシリーズの第3弾。
今回は岩手のお酒を紹介したいと思います。
①雪っこ
1965年、当時流行の兆しを見せ始めた活性酒。 しかし当時の活性酒は、アルコール発酵に必要な米粒も十分に含まれている為、加熱殺菌せずに瓶詰めすると、二次発酵によって炭酸ガスが大量に発生し、栓が飛んだり、噴出して手が汚れたりと、扱いづらいところがありました。
それらの問題を解決しようと挑み、幾多の壁を乗り越え、出来上がったのが『雪っこ』です。 酵母や酵素は生きている生のお酒ですが、醗酵は休止している状態です。これにより、噴出してお客様の手を汚すことはなくなりました。
こうして苦労して出来上がった商品ですが、ある日、ネーミングをどうしようかと会議を開いているとき、外を見てみると、雪がチラホラちらつき始めました。 『あっ、雪っこ降ってきた!』と誰かが発したこの言葉。 「それが、いいね」という話になり、ネーミングは「雪っこ」に決定しました。
こうして生まれた雪っこは昭和45年の発売以来、長年愛され続けています。 ほんのり甘い酔いごこち蔵で生まれた白い雪っことろりとした呑みやすい口当りとほんのりとした酔い心地をお楽しみ下さい。
②南部関
醸造元の川村酒造店は南部杜氏の故郷の中心地・花巻市石鳥谷町に、大正11年に創業。伝統の南部の酒造りを受け継ぎ、良質な酒米の米の持つ旨味を最大限に引き出しながら、完全発酵させ、しっかりしたボディを持つキレよい酒作りを行なっています。
「南部関」は香り穏やかでしっかりしたボディのキレのよい味わいで、料理に寄り添ってくれる純米酒です。地元岩手県産の『ひとめぼれ』を100%使用し、そのポテンシャルを最大限に引き出すよう丁寧に造られました。
骨格がしっかりしているので、冷やはもちろん、熱めの燗にしても美味しく頂けます。熱燗にすると、香り控えめで、ホッとする味わいに。熱燗の燗冷ましもクセになる美味しさです。
③あさ開
岩手は、古くから南部杜氏の里として知られた酒どころ。 明治4年の創業より、日本酒『あさ開』は、米、水、技に恵まれたこの地で豊かな自然に磨かれ、愛すべき人々に育まれてきました。
酒蔵の名『あさ開(あさびらき)』は、万葉集に収められた和歌に因んだもので、船が早朝に漕ぎ出す歌の枕詞です。 南部藩士だった七代目・村井源三が武士を辞め、明治4年(1871年)に現在地で酒づくりをはじめたのがその創業にあたります。侍から商人としての再出発と、明治という新しい時代の幕開けにかけて、『あさ開』の名をつけたものといわれております。
酒米の特長を生かして様々なお料理に合うように、山田錦のお酒を25%、吟ぎんがのお酒を75%と、2種類の酒米のお酒をブレンドしました。穏やかな香りとなめらかな旨みが、誕生日・クリスマスパーティーなどのご馳走を一層おいしく引き立ててくれます。
④月の輪
月の輪酒造は1886年創業。「企業としてではなく 家業として」をモットーに、法人化した現在でも、常に伝統の継承と技術の革新を目標に掲げ、日本酒造りには不向きと言われるもち米を100%使用した純米酒の製造や、原料の米を最大限に利用するしょうちゅうの製造にも取り組んでいます。
「月の輪」の名前の由来は、源頼義、義家父子が兵馬の飲料を得るために池を掘った所、月夜に源氏の旗に描かれた日月が池に写り、金色に輝き、これを吉兆として戦いに勝利した事から来ているのだそうです。
「月の輪 特別純米」は、吟醸酒の香りと純米酒の味わいを兼ね備えた、穏やかで柔らかい造り。 雑味を感じること無く、綺麗な風味が口中に広がります。 「月の輪」の味わいが分かる一本です。
⑤タクシードライバー
「タクシードライバー」は岩手県の喜久盛(きくざかり)酒造の5代目蔵元、藤村卓也さんが平成17年に立ち上げた新しい銘柄です。
映画業界で活躍するデザイナーの高橋ヨシキさんの発案により命名され、「タクシードライバー」は生まれました。 大の映画好きだった二人から生まれた名前の日本酒、それが今、日本酒ファンや著名人の間で注目されている話題のお酒「タクシードライバー」です。
喜久盛酒造は1894年(明治27年)岩手県の内陸部、北上市に設立。現在で5代続く酒蔵です。 2011年の東日本大震災が蔵の運命を大きく変えてしまいました。 大きな被害を負った蔵はその後の余震によって半壊。 多くの機械も損壊してしまった為、とても酒造りが行える環境では無くなりました。 同じ岩手県でも沿岸部の地域には補助金が出たのですが、内陸部の北上市では補助金が下りなかったので、自社での復興を余儀なくされることになりました。
しかし苦境に立たされた「喜久盛酒造」に転機が訪れました。 隣接する花巻市にある酒蔵の蔵元が亡くなり、廃業されることになったのです。 「廃業しても蔵を残したい」という蔵元家族の思いと、販売が好調な「タクシードライバー」を増産し、復興を進めたいという喜久盛酒造の思いが1つになり、廃業した蔵を借りて酒造りすることを決意。 ファンドで資金を調達し、2014年10月からは新しく、南部杜氏を迎え、新体制での酒造りを開始しました。
「タクシードライバー」は地元の飯米「かけはし」で造られたお酒。 ユニークな名前もさることながら、力強く豊かな味わいで首都圏の地酒ファンを魅了しています。
⑥南部美人
「南部美人」は、日本三大杜氏の筆頭に数えられる南部杜氏の洗練された技術と伝統を現在に受け継ぎ、「酒造りは何年やっても、毎年が一年生。」という言葉を胸に酒造りに実直に取り組んでいます。
地産地消の日本酒造りに取り組むだけでなく、現代の健康志向に対応すべく、糖類甘味料を一切使わない日本酒製法の技術を応用した糖類無添加リキュールの商品化に成功しました。 1997年から海外への進出に積極的に挑戦し、今では多数の国々へ「サザンビューティー」の名称で親しまれるようになりました。
『南部美人 純米吟醸酒』は、南部美人の主力となるお酒です。 心地よい吟醸香、お米の甘さと旨味がほのかに広がるが、キレもあり優しく綺麗で上品な純米吟醸です。 上品な和食との相性は抜群です。 岩手県の酒造好適米の「吟ぎんが」、オリジナル酵母の「ジョバンニ」、米・水・酵母・人など、全てが岩手という「オール岩手」のお酒です。
⑦酉与右衛門(酔右衛門)
「川村酒造店」は大正11年に19代当主の川村ヨ(酉与)右衛門・(明治18年生れ)により創業しました。 酔右衛門は、16歳の頃より酒造出稼ぎに行き始め、優秀杜氏であった事が伝えられています。
「川村酒造店」では、先人の軌跡を大切にしつつ、自らも原点に帰り、「良酒」造りに一層励むため「酔右衛門」と名付けた地酒を、限定発売しました。
酸味があり、切れが有る、食中酒にオススメのお酒です。 旨味・甘味、辛味が見事にバランスしています。
⑧赤武
このAKABU(赤武)を醸す杜氏は若き6代目 古舘龍之介氏。なんと現在25歳の最年少杜氏です。東京農大出身で、学生時代は利き酒大会の全国大会のチャンピオン。しかも蔵人の平均年齢は20代とまさにこれからの日本酒業界を引っ張っていく若手蔵元です。
味わいの特徴はとにかくフレッシュで、心地良い吟醸香、さらりと繊細な米の旨味、キレの良い後口飲み飽きしないスッキリ旨口です。
いかがだったでしょうか?
日本全国美味い日本酒巡り:その3.岩手の日本酒。
お気に入りのお酒を取り寄せて、岩手の名酒を味わってみては如何でしょうか?